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2022.10.14 – 16 川口隆夫 『バラ色ダンス 純粋性愛批判』序章 @赤坂 ゲーテ・インスティトゥート東京


青山通り。最高裁判所と国会議事堂をすり抜けて、フェラーリとランボルギーニが渋滞する街赤坂へ突入。別に何も悪くないのに、罪悪感を感じさせられるエリアである。並走を続けるパトカーに会釈して法定速度を遵守、ゲーテ・インスティトゥート東京に到着。

現れた担当職員さんが、すでに公演から2週間が経過している旨を告げた。実感がない。昨日のことのような感じがするのは、遺された瞬間が延々散り続けているからかもしれない。前を歩く川口隆夫氏に鍵をもらい、預けていた小道具を運搬。台車をガラガラ押しながら思う、あれは何だったんだろうと。

ゲーテ・インスティトゥート開館60周年にあたり、めでたく還暦な川口隆夫氏に呼ばれる年始。1965年に上演された土方巽氏の初期代表作『バラ色ダンス──A LA MAISON DE M. CIVEÇAWA』を、川口氏がキャンプ精神をもって再解釈する企みへ便乗させていただくことに。

私が生まれる四半世紀前の話に「?」状態のなか、笠井叡氏・笠井久子女史による熱い実況が身体へぶち込まれてゆく。ドラマトゥルク:呉宮百合香氏からもたらされる文献と映像データを拝見していると、仰ぐものはいつのまにか蝉の声から、金木犀の香りへと移り変わっていった。

当時の案内状。開封すると金粉が舞う

川口隆夫氏のもとへ集いし出演者の方々は、三浦一壮氏(御年85歳)、藤田真之助氏(ジビ君)、三好彼流氏(カル君)。さらに日替わりゲストに木部与巴仁さん、川村浪子さん、砂山典子さんのご乱入も。和田翼氏による鋭動、立ちくらむ梅原徹氏のノイズ、銀の彼方へ沈む小野龍一氏のピアノ、最終日は松丸契氏のサクソフォンも轟き。めくるめく映像&照明のもと「……私と一緒にお茶しませんか?」の招待を受けた1名様が、かずこ様のお茶会へと消えてゆく(エンターテインメント付)。

惜しげもなく流れ込み、日に日に増す豪華絢爛スタッフ陣と塗る石膏。石膏マンになろう!体験キャンペーン希望のお客様も、佐藤ペチカ氏にお連れ去られ毎回どこかに消えていった。

photo by bozzo

奇術師・川口隆夫氏の艶かしき一手により、見事に愉しくブラックホールへ落下している気がする。のは私なのか、なんなのか……さてアルマジロを積み込んで、バタンと閉める車のトランク。向かうは2023年夏の本公演へ。

アルマ次郎くん
photo by bozzo

2022.07.31 『横須賀のsalo』 @飯島商店


クーラー全開で走る首都高湾岸線、仲間たちと移動できる楽しさ。アクセルベタ踏みで横須賀へ向かい、外壁にツタのはう古民家に到着した。

ここは飯島商店。かつては炭や牛乳や煙草屋として活躍したという築90年の建物で、現在は店舗兼住居スペース・オルタナティブ古民家として利用されている。そんな歴史ある場所で開催されるのは、米澤一平氏によるライブセッション&サロン企画。DJ IORI氏の織りなす空間で、昼は後藤海春氏(妊婦)、夜はTAISHI WATANABE氏(舞人)をゲストに迎えて過ごそうという試み。

それにしても暑い、さすがは横須賀。海軍らしき人々の純白制服が真夏感を増幅し、その爽やかさで気絶しそう。体温より高い気温にクラクラしていると、ぽわんとお腹を抱えた海春がやってきて回復した。

長年にわたって様々な経験を共にした彼女への、あふれる個人的な想いのみで踊るとやさしい時のせせらぎが聴こえた。そうっと寄り添う米澤氏、DJ IORI氏の音のまなざしを感じてはうつろう。

©Naoyuki Sakai

とろんとした潤いが沁みる身体、いまがまたひとつの過去となりゆく強さ。ご一緒いただきました皆様、誠にありがとうございました。

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がらりと変わり夜の部へ、TAISHI WATANABE氏とのセッションがスタート。

©Naoyuki Sakai

寡黙ながら常人ばなれした踊りへの熱量と、スタイリッシュかつ独創的な佇まいに日々衝撃を受けている川村です。なんなんだ、この人は?!ちなみに彼と「異路派 -iroha-」というユニットを組んで活動中でもあります。

©スズキマサミ

よきレコードはきっと、然るべき人の手中に収まることを感じて舞う。木の温もり、い草の香り、絨毯のゴミ、皮膚の味、葉っぱのゆらめき、冴えわたる五感。お立ち会いくださった方々、ありがとうございました。

©スズキマサミ

2022.07.09 『アルゼンチン独立記念日特別コンサート』 @中央大学多摩キャンパス クレセントホール


しらぬまに、常磐線の終点が増えている。向ヶ丘遊園、成城学園前、伊勢原……?どこなんだそこは。少し前までは代々木上原&唐木田のみだった気がするが、どこへ消えたのだ唐木田よ。どうやら2018年にダイヤ改正がなされた模様、新百合ヶ丘にてようやく唐木田行きとの再会を果たす。

慣れないモノレールにぬるっと揺られ、中央大学で下車。木々を抜けて広大な敷地内をさまようことしばらく、クレセントホールという半月形の建物に到着した。

C.BECHSTEINのピアノ、譜面台がかわいい

中央大学は元々「英吉利(イギリス)法律学校」として神田に創設。1978年には文系4学部が多摩へ移転、このクレセントホールも同時期に完成。キャパ約2,000人、入学式等で使用されます ──そんな母校解説を織りなすのは、編集者・舞踊批評家の志賀信夫氏。今回は志賀氏を通じて音楽プロデューサー仙谷恵子氏のサポートのもと、コンサート(法学部の講義)が開催される。

続々と学生さんが現れ、プリントを片手に着席をはじめた。私もそれに倣い、リアクションペーパーという名のプリントをもらい着席。学内で教鞭をとり、ピアノを通じてアルゼンチンタンゴを研究しておられる二宮玲子氏の講義がスタート。

アルゼンチンタンゴは元来、とある港町の酒場で発生したのだそう。コンサートは大阪のライブハウスCafetin de BuenosAiresとリモートで繋がり、関西のタンゴカルテット(ピアノ:矢田麻子氏、バイオリン:外薗美穂氏、バンドネオン:清川宏樹氏、コントラバス:米村麻由氏)の演奏と交互に展開される。

大阪の様子。左スクリーンにこちらのライブ映像が
©小杉朋子

パリへ渡り、アルゼンチンに出戻ったタンゴの革命児:ピアソラの没後30周年。踊れないタンゴとして知られる彼の鋭曲が、日本の東西かわりばんこに演奏されてゆく。鮫、ブエノスアイレス午前零時、ノニーノ、忘却、ラ・クンパルシータ、アヴェマリア、リベルタンゴ。都度つど、カホンの鈴木有紀氏もご参加されてのひととき。学生さん、お立ち会いくださった関係者の方々、そして職員の皆さま、ありがとうございました。

©小杉朋子
終了後、未来新聞:森内氏のゆかいなお話をつまみに