青山通り。最高裁判所と国会議事堂をすり抜けて、フェラーリとランボルギーニが渋滞する街赤坂へ突入。別に何も悪くないのに、罪悪感を感じさせられるエリアである。並走を続けるパトカーに会釈して法定速度を遵守、ゲーテ・インスティトゥート東京に到着。
現れた担当職員さんが、すでに公演から2週間が経過している旨を告げた。実感がない。昨日のことのような感じがするのは、遺された瞬間が延々散り続けているからかもしれない。前を歩く川口隆夫氏に鍵をもらい、預けていた小道具を運搬。台車をガラガラ押しながら思う、あれは何だったんだろうと。

ゲーテ・インスティトゥート開館60周年にあたり、めでたく還暦な川口隆夫氏に呼ばれる年始。1965年に上演された土方巽氏の初期代表作『バラ色ダンス──A LA MAISON DE M. CIVEÇAWA』を、川口氏がキャンプ精神をもって再解釈する企みへ便乗させていただくことに。
私が生まれる四半世紀前の話に「?」状態のなか、笠井叡氏・笠井久子女史による熱い実況が身体へぶち込まれてゆく。ドラマトゥルク:呉宮百合香氏からもたらされる文献と映像データを拝見していると、仰ぐものはいつのまにか蝉の声から、金木犀の香りへと移り変わっていった。

川口隆夫氏のもとへ集いし出演者の方々は、三浦一壮氏(御年85歳)、藤田真之助氏(ジビ君)、三好彼流氏(カル君)。さらに日替わりゲストに木部与巴仁さん、川村浪子さん、砂山典子さんのご乱入も。和田翼氏による鋭動、立ちくらむ梅原徹氏のノイズ、銀の彼方へ沈む小野龍一氏のピアノ、最終日は松丸契氏のサクソフォンも轟き。めくるめく映像&照明のもと「……私と一緒にお茶しませんか?」の招待を受けた1名様が、かずこ様のお茶会へと消えてゆく(エンターテインメント付)。
惜しげもなく流れ込み、日に日に増す豪華絢爛スタッフ陣と塗る石膏。石膏マンになろう!体験キャンペーン希望のお客様も、佐藤ペチカ氏にお連れ去られ毎回どこかに消えていった。







奇術師・川口隆夫氏の艶かしき一手により、見事に愉しくブラックホールへ落下している気がする。のは私なのか、なんなのか……さてアルマジロを積み込んで、バタンと閉める車のトランク。向かうは2023年夏の本公演へ。

photo by bozzo

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