かつて四ッ谷・大京町の路地裏に、綜合藝術茶房 喫茶茶会記というサロンあり。ジャズ喫茶をルーツとする店主:福地さんの淹れる美味しい珈琲をはじめ、店内にはパフォーマンススペースも併設。錚々たる音楽家・芸術家がふらり集い、温もりのある鋭い音が鼓膜へ託された。

©Manaho Kaneko
2021年からは茶会記クリフサイドと名を改められ、カフェ併設のスタジオとして長野県・茅野市へ移転。四ッ谷時代からのスピーカーが紡ぐ麗音もさることながら、夜には走り屋のスキール音(国道152号線 白樺湖起点)を満喫するチャンスも訪れる。標高1300メートル崖っぷちという立地でなお保たれる茶会記の風格に、鼓膜と神経のアクセルは全開。

そんな茶会記 店主:福地さんの一声により、創作と発表の機会をいただいた今回。映像・演出・メインヴィジュアルを務めるのは、Audio VISUAL artist:韓成南さん。制作・ドラマトゥルクには、劇作家・演出家:上田晃之さん。ほか上原俊さんのお写真、そして宣伝美術は yamasin(g)さんによるもの。
梅雨どきのワークショップ、茶会記クリフサイドでの弾丸合宿、銀座路上でのゲリラパフォーマンスなど、様々なひとときをお供して創作へ。韓成南さんからは序盤から、透きとおるように一貫したヴィジョンが呈示されていた。その佇まいは実直ですんとして、おのずとモノ化する身体を探ってみたのだった。星新一方面で。








「ここで、みきこちゃんのカッコいいダンスが始まる」という、今までに聴いたことのない斬新な演出……!に腕をまくり、茶会記の風ほのかに頬をかすめるリハーサル。眉毛、小指、親知らず、おへそ、モラル、貞操、などなど失ったら面白そうなものをイメージ(もしくは実際に失い)、身体の状態を味わってみる。

拘束椅子の手配から現場、細部に宿るやりとりまで、上田晃之さんの丁寧かつ迅速な進行は熟練のなせる業としる。重厚で巧みな語り口にも吸い込まれ、俳優の大間知賢哉さんと神田智史さんによる手際よきアシストあり。フィルム映画を観ているような体感、友人がそう伝えてくれた終演後。いかなるときも身体のそばに、観察者のようなそれが生じる様を願って。視界と知見のパカンと拡がる学び多きクリエーション、ご来場いただきました皆様ありがとうございました。
茶会記クリフサイドにも、ぜひ足を運んでみてくださいませ。


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